ホンダが、これまで掲げてきた「自前主義」を見直す覚悟だ。日立オートモティブシステムズと、電気自動車(EV)などのモーター事業で共同出資会社を設立すると発表。EV時代の本格到来に向け、巨額の開発費用が必要な先進技術で業種を超えた提携が国内でも加速してきた。
規制強化受け転換
「より競争力のあるモーターをつくる必要があった」。7日、東京都内で記者会見したホンダの八郷隆弘社長は提携の理由を説明。過半出資で主導権を握る日立オートの関秀明社長は「107年前、日立はモーターから創業した」と伝統の技術力をアピールした。モーターは電動車両の心臓部。2人の社長がそろって会見したところに両社の本気度がにじむ。
ホンダはこれまで自社開発にこだわってきた。方針転換の背景には、米カリフォルニア州が2018年ごろから排ガスゼロ車の一定割合の販売を自動車メーカーに義務付けるなど世界的な環境規制強化の流れがある。
ホンダは17年に米国でEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を投入する。八郷社長は「両社の知見を合わせればシナジー(相乗効果)とスケールメリットを生かせる」と語った。
独立志向が強いといわれるホンダだが、昨年12月に米グーグルと完全自動運転のための共同研究の検討を発表。今年1月には、米ゼネラル・モーターズ(GM)と、燃料電池車の基幹部品の共同生産を打ち出した。市場では「ホンダの経営が変わってきた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリスト)との評判がもっぱらだ。