2017.1.13 05:00
東レ日覚昭広社長【拡大】
■「コスト削減」と「新素材開発」に注力
--世界経済の先行き不透明感が増している
「グローバル化そのものは間違っていない。不透明感が増しているのは、マネーゲームが展開されているためだと思う。金融資本主義になり、ほんの1、2%の人が世の中を動かしている。ドナルド・トランプ氏が米大統領に選ばれたのは、取り残された人々の不満が高まっているからだろう」
--国内では個人消費がなかなか盛り上がらない
「消費者からすると、将来への不安があるからお金を使わない。単に賃上げしても意味はなく、消費税率を引き上げて社会保障に回すべきだ。メーカーに対しては、円高や高い法人税率といった『6重苦』を解消してやれば、個人消費も活発化する」
--化学・合成繊維業界の環境は悪くない
「昨年はほぼ安定していて、原油価格も落ち着いていた。石油輸出国機構(OPEC)が減産したとしても、シェールオイルが増産される。シェールオイルの採算分岐点とされる60ドルを超えることはないだろう。心配なのは、投機マネーが流入し、再び資源高になることだ。そうなると影響を受けざるを得ない」
--3月で3カ年の中期経営計画が終了する
「最終年度の2017年3月期は円高で海外収益が目減りするため、営業利益1800億円という目標の達成は難しい。打つべき手は打ってきた。現地通貨ベースでは前期比で増収増益になる。利益目標と合わせて掲げた計2000億円のコスト削減も達成できる」