MRJ開発遅れ、大型客船撤退…空も海も失態続き 三菱重工に何が起きているのか (2/3ページ)

開発中のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」は5度目の納入延期がささやかれている
開発中のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」は5度目の納入延期がささやかれている【拡大】

  • 三菱重工業が今年3月に引き渡した大型客船「アイーダ・プリマ」
  • 大型客船事業から撤退する三菱重工業の長崎造船所=長崎県長崎市
  • 大型客船からの撤退を発表した三菱重工業の宮永俊一社長=10月18日、東京都港区

 延期に伴い、MRJの開発費は計画を大幅に上回る3000億円規模に膨らむ見通し。受注が確定した427機はキャンセルでき、せっかく獲得した顧客を失う可能性もある。

 同社が直面するトラブルは、これらにとどまらない。米国では、原子力発電所に納めた蒸気発生器が壊れて廃炉になったとして、7000億円もの巨額賠償を請求されている。2年前に火力発電所事業を統合した日立製作所とは、南アフリカの発電所建設で発生した損失負担をめぐり争っている。さらに、昨年秋と今年夏に防衛省が行った新型イージス艦2隻の入札では、ともにライバルのジャパンマリンユナイテッドに敗れている。

 三菱重工が過去10年間に計上した特別損失は、実に年平均で600億円に達する。

 大型客船とMRJは、ほとんど経験のない分野に挑んだ点で共通している。

 同社が10万以上の大型客船を建造するのは10年ぶりだ。しかも10年前は「プロトタイプ」があり、自ら基本設計を行う必要はなかった。

 大型客船は「浮かぶホテル」ともいわれ、客室や劇場、プールなどを備える。アイーダ・プリマのような最新の船になると、各部屋に無線インターネット回線も完備し、その分さまざまなノウハウが必要になる。同社にはそうしたノウハウが欠けていたうえ、内装や設備を手がける欧州企業との連携もうまくいかなかった。

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