「いいクルマをありがとう」
椋本氏は10月中旬に山中湖でS660のオーナーズクラブの集会が開かれることを知り、かけつけた。ずらっと100台並ぶ“わが子”を見て、感慨もひとしおだった。
「ユーザーさんから『いいクルマをありがとうございました』とけっこう言われるんです。クルマはただつくって終わりではありません。クルマをつかう人がいて、その人たちが喜んでくれて初めてモノづくりと言える。やっぱりモノづくりはいいなと思いました」
コンペの資料を作る際、大切にしてきた楽しいという感覚。その感覚は確かに、ユーザーにも伝わっていた。
ホンダのヒットを生み出した「奇跡の資料」
【1】ワクワク感を1枚目に
ホンダへの入社動機である「ワクワク」感を出すために規定用紙の前に持ってきた1枚。写真にある小型原動機付き自転車「モンキー」のように、若者でも購入・維持でき、かつ全速力で走ることができるクルマづくりを表現。いくつか見た写真の中で最もイメージに近かったという。
【2】技術よりも若さと情熱をアピール
2枚目は社内の規定フォーマットに沿って記入。通常、特徴・アピールポイントの欄には最新の技術などテクノロジー面を書き込むことが多いが、あえてイメージを書き込んだという。仕様概要には自身で描いたイメージ図を使用。日頃からスケッチをしているという。
(Top Communication=構成 宇佐美雅浩=撮影)(PRESIDENT Online)