KDDIは、携帯電話基地局の非常用バッテリーの24時間化を拡大する。これまでは役所や主要駅がある約2千の基地局について、従来の3時間から24時間にしてきたが、周辺の基地局でも増強を進める。4月の熊本地震の教訓を生かし、災害で基地局の有線回線が切断された場合、周辺の基地局と無線回線でつないで機能を回復させ、その地域のサービスを早期に復旧させる態勢を整える。
基地局は、主に光ファイバーの有線回線でつながれているが、熊本地震では、南阿蘇地域などで土砂崩れにより有線回線が切断され、復旧が遅れた。KDDIはあらかじめ各基地局が機能しなくなった場合、どの周辺基地局でカバーするかを決め、復旧までの時間を短縮する考えだ。
基地局間の連携で広範囲に機能を果たすこの手法は「中ゾーン基地局」といわれる。距離が近くても、高い建物などが電波をさえぎる場合はカバーできないため、東京都内は災害時専用の基地局で備える。KDDIは、巨大地震が想定される南海トラフ地域の約100局で優先的に進め、将来的には全国の1千を超える基地局で対応する方針だ。