山本会長は英メディアに対し、「(英国がEUから離脱すれば)われわれは注意深く経過と結果を見極めて、さらなる投資をすべきかどうか判断する」と述べ、投資戦略の見直しを示唆した。
英国民に呼びかけ
日立製作所の中西宏明会長は、5月11日の英フィナンシャル・タイムズ、6月7日の英デーリー・ミラー紙に相次いで寄稿し、「対英投資や雇用拡大を再考せざるを得なくなる」と強い論調で残留に投票するよう英国民に求めた。
日立は英国で累計1千台超の鉄道車両を受注しており、事業規模は1兆円超になる。昨年9月にはニュートン・エイクリフに約126億円を投じ、鉄道車両の工場を建設した。
原発事業でも、2012年に英電力会社ホライズンを買収した。ホライズンは英国内の2カ所に4~6基の原発を建設する計画で1号機は20年前半に稼働する計画だ。事業規模は2兆~3兆円にも及ぶ。
英国がEUを離脱した場合、イタリアの工場で建造する鉄道車両の一部に関税が課される恐れがある。原発事業では、EUからの部材や人材の調達方針を見直す必要が出てくる。日立を牽引(けんいん)する鉄道・原発事業に影響が出れば、会社全体の業績を押し下げかねない。