米FRB、追加利上げ見送り 雇用ペースダウン、英EU離脱問題も影響

2016.6.16 08:03

 【ワシントン=小雲規生】米連邦準備制度理事会(FRB)は15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げの見送りを決めた。米国の雇用や物価の見通しの不透明さに加え、英国の欧州連合(EU)離脱問題などの不確実要素もあるため。FRBは年内の利上げ回数が2回程度になるとの見通しは維持したが、来年以降については利上げペースが遅くなるとの見方も示している。

 FOMCは全会一致で主要な政策金利の誘導目標を0・25~0・50%に据え置いた。3、4月の会合で追加利上げを求めていたカンザスシティー連銀のジョージ総裁も利上げ見送りに転じた。

 FOMC後の声明は5月の就業者数の増加幅が5年8カ月ぶりの低水準だったことなどを踏まえ、「労働市場の改善ペースが鈍化した」と指摘。企業の投資活動が落ち込んでいることにも懸念を示した。

 イエレン議長は記者会見で、英国で23日に行われるEU離脱の是非を問う国民投票について「世界経済や金融市場に影響をもたらす決断になる」と指摘。物価上昇率については、目標とする2%に向かうとの見方は維持しつつ、「物価上昇期待が安定していることを当然視することはできない」と述べ、物価動向を慎重に見守る姿勢を示した。

 イエレン氏は「最近の経済指標は硬軟入り交じっている」と話し、追加利上げ見送りによる経済活動の下支えが必要との認識を示した。一方、次回7月会合での追加利上げも「ありえる」と述べたが、市場では7月の追加利上げも見送られるとの見方が強い。

 声明と同時に公表された経済見通しでは、FOMC参加者が予想する16年末の政策金利の水準の中央値は0・875%で、3月時点の予想と同じだった。しかし17年末については1・625%とされ、0・25ポイント下がっている。

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