対立は、今年に入って再燃。ウジミナスは現在、ブラジル経済の低迷や、過剰設備を抱える中国メーカーの安値攻勢で、巨額の赤字に陥っている。財務改善のため、3月に約300億円の増資を決めたが、新日鉄住金が引き受ける意向を示したのに対し、テルニウムは当初反対して資産売却を主張した。
5月下旬には、逆にテルニウム主導で行ったCEOの交代に新日鉄住金が異議を唱え、解任の無効を求める訴えを起こした。
しかし、無効が認められたとしても、株主間協定の有効期間は31年まである。今の状態が続く限り、新日鉄住金が経営の主導権を握れる可能性は低い。
同社は、来年3月に日新製鋼を子会社化するなど、投資を増やしている。たとえテルニウムが株を手放すとしても、予定外の出費は避けたい。一方、経済が悪化しているとはいえ、ブラジルは鉄鋼需要の中長期的な拡大が見込まれる有望市場だ。深いつながりのあるウジミナスという拠点は手放したくない。
となると、やはり現状の中で解決するしかないが、妥協の余地は小さい。1日には両社がウジミナスの分割協議に入るという一部報道に対し、新日鉄住金が否定する場面もあった。
他のメーカーに比べると業績堅調な新日鉄住金も、海外事業は赤字だ。中長期的な成長のためにも、海外展開の加速は欠かせないだけに、重要市場でのつまずきは痛い。