キャンピングカーの売れ行きが伸びている。市場を牽(けん)引(いん)するのは、時間とお金に余裕のある中高年層。寝泊まりできる設備を備えており、温泉地などをめぐりながら気ままな旅をできるのが人気の理由だ。専用の宿泊スペースも全国各地に広がっている。さらに一般の自動車に比べてゆったりと車中泊ができるため、大規模災害時の「仮設住宅」としても注目され始めた。(田村慶子)
空前のブーム
「展示車に『成約済み』の札が次々貼られ、その場で購入を決めるお客さんも多かった。シニアからファミリーまでたくさんの来場客でにぎわいましたよ」
3月に大阪市内で開かれた「大阪キャンピングカーショー2016」の主催者は、その盛況ぶりをこう話した。本格的な大型モデルから、軽自動車に家具などを装備した軽キャンピングカーまで計155台が展示され、今年は前年の2割増となる2万2千人超が訪れた。キャンピングカー市場はいま、空前のブームを迎えている。
一般社団法人日本RV協会(東京都町田市)が調査した「キャンピングカー白書2014」によると、平成25年のキャンピングカーの国内売上高は前年比9・9%増の約310億円と過去最高を記録した。
団塊世代の大量定年退職を迎えた19年以降、「時間とお金にゆとりのある60代以上のシニア層らの注目が集まっている」と、同協会の広報担当者は話す。
「人気の最大の理由は安く、楽しく、便利に旅ができること」(同協会)。通常の旅行なら交通手段や宿を手配しなければならず、急な旅先変更も難しい。だが、キャンピングカーなら好きな時間に発つことができ、ペット同伴も可能だ。温泉めぐりや紅葉狩りを夫婦で楽しんだり、友人と趣味の写真や釣りに出かけたりと、キャンピングカーが旅の選択肢を広げている。