稼働しているヒートポンプチラーを自動制御するシステムも特徴がある。工場で働いている人数は時間帯や日時、稼働している生産ラインの数などによって常に異なるが、独自のシステムで自動的に検知してヒートポンプチラーから給湯される温水を利用する空調機器の稼働台数や稼働率を調節。設定された温度や湿度を保つ通常操業モードと、温度が設定温度からプラスマイナス2度、あるいは湿度がプラス5%に達した場合のみ時間を限定して稼働する非操業モードの2つを随時使い分け、空調機器の最適な状態を効率的に実現している。
◆従業員一人一人が意識
東日本大震災後に本格稼働した最新の工場のため、関東グリコではこのほかにも環境への配慮を随所に設けている。
工場の断熱性能を高めるための外壁には、2枚の鋼板の間に断熱材をはさむサンドイッチパネルという方式を採用。商品を生産する工場自体は窓をなくした構造にして断熱性を高めている。
一方、従業員が食事などで使う厚生棟の窓ガラスは同じく耐熱性能の高い複層ガラスを採用。照明も通常の電灯よりも効率が高いHF蛍光管を使用することで約30%の省エネを実現。LED照明の導入なども徐々に進めている。
さらに電気やガス、水の使用量はパソコン上で全従業員の閲覧を可能にした。従業員一人一人が省エネや節水を意識し改善することで、ハードとソフトの両面から省エネと効率性を追求している。
最終的には「ポッキーやプリッツの1箱当たり、これだけしかCO2を排出していないというようなことをアピールできるようになればいいと思う」と土持社長はいう。
省エネを追求しつつ安価で品質の高い商品を消費者に提供する。環境と生産性を両立させる商品作りの取り組みは、今後も追求が続きそうだ。(永田岳彦)