セコムが11日発表した前会長の前田修司氏(63)と前社長の伊藤博氏(64)を解職するという“異例”の人事が、市場関係者の間で波紋を広げている。2016年3月期まで最終利益が4年連続で過去最高を更新するなど好業績が続く中、社長には常務だった中山泰男氏(63)が11日付で就任。異例の人事の裏には経営陣の根深い対立があったとみられ、12日の東京株式市場では、セコム株が一時160円安の8358円まで売られた。
11日に一人で会見した中山氏は「前田氏は約7年にわたり強力なリーダーシップを発揮したが、副作用として自由な気風が失われた」「(前田氏と伊藤氏の)2人の経営では中長期的な成長が見込めない」などと解職理由を説明した。提案が社内で通りにくい状況も生じていたという。
このため、4月以降、指名報酬委員会が複数回にわたり退任を促した。だが、前田氏が拒否の姿勢を貫いたため、11日の取締役会で2人の解職が決議された。取締役11人のうち6人が賛成。創業者の飯田亮取締役最高顧問(83)も賛同していたという。