今回の人事案には、これまで円満な関係を築いてきた伊藤雅俊名誉会長と鈴木氏の間のすれ違いも垣間見えた。
記者会見に同席したセブン&アイの村田紀敏社長は「(イトーヨーカ堂創業者の)伊藤名誉会長から人事案に判子をもらえなかった」と説明。創業家で大株主の伊藤家の同意が得られなかったことが取締役会の判断に影響を与えた可能性を示唆した。人事案について、鈴木氏と伊藤氏が解決のため直接会談した形跡はなく、鈴木氏は、同意が得られなかったことについて「世代替わりがあった」と述べるにとどめた。
鈴木氏は、井阪氏を社長に登用するにあたって、任期は7年と考えていたと主張。井阪氏の交代は既定路線だったとも強調したが、会見では「最高益を続けた社長が辞めるのは世間の常識が許さないということでしょう」とも漏らし、自らの考えが受け入れられなかった悔しさをわずかににじませた。