マイナス金利で国債の金利水準が低下(価格は上昇)すれば、金融機関は国債を高値で日銀に売却しようと考えるため、日銀も国債を買い入れやすくなる。さらに、金融市場が混乱する中、円高・株安に歯止めをかけたかったとみられる。金利が低下すれば円資産ではもうけにくくなるため、「投資家は円を売ってドルを買う」と見込んだのだ。
だが、欧米経済の減速懸念が急浮上し、急ピッチで円高が進んでしまった。1月29日のマイナス金利政策の導入決定直後には1ドル=121円台後半まで円安ドル高が進んだが、2週間ほどで一気に円高が進み、11日の海外市場では、約1年3カ月ぶりに1ドル=110円台をつけた。
「緩和しなければもっと円高・株安が進んだかもしれない」。日銀幹部はあくまで強気だ。原油価格の急落、金融市場の不安…。世界的なリスク回避を受けて、欧州の景気失速だけでなく、「世界の牽引(けんいん)役」(エコノミスト)といわれる米国経済さえ不安視され始めた。