“爆買い”を伴うインバウンド(訪日外国人)が昨年1年間で推計1974万人と過去最高となるなか、宿泊施設の不足が懸念されている。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、直近の昨年10月の大阪府内の宿泊施設の客室稼働率は87・0%。一般的に予約が取りにくくなる80%を既に超え、8カ月連続で全国一高い状態が続く。今後3年で大阪市内で20棟前後のホテル建設が計画されているが、大阪商工会議所の調査では東京五輪が開かれる平成32(2020)年までに手を打たなければ、パンクするとのデータもある。(中島高幸)
うれしい誤算
「都市部の客室稼働率は高止まりし、ビジネスマンも泊まれない状況だ」
インバウンドの増加は地域に経済的な恩恵をもたらしているが、関西経済連合会の森詳介会長(関西電力会長)が危機感を募らせているのは大阪のホテルの高い稼働率だ。
関経連は昨年2月、関西広域観光戦略を策定し、関西のインバウンドを32年に800万人(25年実績=345万人)に増やす目標を掲げた。政府の日本全体の目標は2千万人で、京都など世界的な観光地を抱える関西が4割を受け持つ計算だ。ところが、27年1~9月の累計は関経連の推計で570万人で、5年後の目標に迫る勢いだ。