横浜市都筑区のマンションに端を発したくい打ちデータ偽装問題の拡大は、建設業界が抱える課題解決の必要性を改めて突きつけた。高齢化に伴うとび職や型枠工といった技能労働者の慢性的な不足や下請け構造の重層化など、すぐには処方箋を打ち出せない難題も少なくなく、政府の対策が急がれている。
「データ流用が横浜以外にも広がっていることを重く受け止めている」。石井啓一国土交通相は13日の閣議後会見で、問題の背景が「個人の不手際」だけでは説明できなくなりつつある現状に懸念を示した。
国交省の調査では、年間の建設投資額は平成22年度の41・9兆円から上向き、26年度は48・4兆円。建設大手や準大手などが加盟する日本建設業連合会によると、アベノミクスによる高成長が維持されれば、37年度には52・6兆円まで拡大すると推計される。
ただ、働き手の高齢化で同時期までに約130万人の離職が見込まれ、建設事業者が投資に見合った供給を進めるには約90万人の新規の技能労働者が必要とされる。人材不足を補うための生産効率化も進んでいるが、施工技術の高度化が、下請け構造の重層化を引き起こす弊害も生んでいる。