横浜市都筑区の傾いたマンションに端を発するくい打ちデータ偽装問題で、渦中の三井不動産と旭化成が6日、それぞれ中間決算会見を開いた。マンション販売元の親会社である三井不動産の佐藤雅敏常務執行役員は会見の席上「購入されたお客さまや関係者にご心配をおかけした」と述べ、公の場で初めて謝罪した。一方、子会社の旭化成建材がデータを偽装した旭化成は、経営陣の役員報酬について自主返上を検討することを明らかにした。
佐藤氏は平成27年9月中間決算会見の冒頭で立ったまま陳謝。質疑では、横浜以外で旭化成建材が関わった物件について、「判明した範囲で4件だが、不具合は見つかっていない」と説明した。経営責任については、「住民との協議を始めたばかり」として、明確な回答は避けた。
三井不動産は問題発覚後、住民に対し複数回の説明会を実施したが、一部役員の発言が報道された以外は、記者会見を開いてこなかった。
旭化成も同日、中間決算の会見で小堀秀毅専務執行役員が、浅野敏雄社長や平居正仁副社長らの報酬返上について言及した。データ偽装が全国的な広がりをみせる中、経営責任の確定に時間を要すると判断した。返上の比率は今後詰める。
通期業績見通しは、旭化成が最終利益を従来予想から150億円下方修正したが、三井不動産は据え置いた。両社ともデータ偽装問題の影響について「現時点で合理的に見積もるのは困難」(旭化成の小堀氏)として織り込まなかった。