北海道などでも新たに旭化成建材のデータ流用が発覚したことで、同社の親会社、旭化成の業績へも深刻な打撃が及ぶ見通しだ。ブランドイメージの低下に伴う住宅事業の販売不振は避けられないほか、建て替えによる巨額の補償費用も業績の重しとなる。
旭化成は横浜市のマンション傾斜問題の背景について、データ偽装を行った現場管理者の個人的な資質によるものとの立場をとってきた。だが、別の人物によるデータ流用が新たに浮上し、同社の企業風土そのものに対する厳しい批判が高まるのは必至だ。
旭化成は軽量コンクリートや断熱材などで独自の建材を開発。また、高品質な戸建て住宅ブランド「ヘーベルハウス」を主力とする住宅事業も展開する。平成27年3月期の連結売上高約1兆9900億円のうち、住宅・建材部門は約3割を占める。企業イメージの低下は致命的だ。
また、200億円台後半ともいわれる傾いた横浜マンションの建て替え費用についても、三井不動産グループが旭化成建材に一定の負担を求めるとの見方が強い。さらに今後は建て替えが必要な物件が増えることも予想される。
浅野敏雄社長は、今月20日の会見で「まだ(業績に)大きな影響は受けていない」と説明した。だが、事態の深刻化で、経営責任を問う声も強まりそうだ。