東芝は7日、田中久雄・前社長ら歴代3人の社長と財務担当役員2人の計5人に対して、合計3億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。不正会計に関与して会社に損害を与えたとして、株主から訴訟を起こすよう求められていた。
一定のけじめをつけたと評価する声もある一方で、2248億円に及んだ巨額粉飾の代償をわずか3億円としたことに、「過少だ」という批判も上がっている。
発表文を読んで分かるのは東芝が今回の問題を一向に反省していないということだ。金融庁や東証までもが「不正会計」という言葉を使っている中で、いまだに「不適切会計」と表現し続けている。あくまで「不正」は働いていない、という姿勢なのだ。
賠償を求める理由も、取締役としての「善管注意義務違反」だとしている。善良なる管理者としての注意を怠ったというもの。あくまで善良であることが前提の条文で、違法行為を行っていた場合に適用されるものではない。発表文の中でも「任務懈怠(けたい)」という言葉を使っている。つまり、ここでも5人は意図的な不正は行っていない、と主張しているのだ。