結局、新興市場は失敗に終わり、関西経済の地盤沈下には歯止めがかからなかった。巽氏の読みは外れた部分もあったが、秋山氏がそれを見通していたとしても関西経済界の重鎮として冷ややかすぎるのではないかとの批判もあった。
今回、秋山氏らが自ら退任を申し出たという話は公には伝わってこない。「最後まで地位にしがみついたのか」と周囲を落胆させ、批判的な見方を呼び覚ましている。
重い腰
関電は、関西で最も格の高い企業の一つだが、経営や商品・サービス開発などで際だって先進的なところがあったわけではない。関電など大手電力会社の力の源泉は、税金並みに確実に徴収できる電気料金に裏付けられた安定的な経営基盤と、事業発注主としての規模の大きさにある。
発電所の建設だけでなく定期検査などで周期的に大規模な外部発注をしている。また、ある電力会社の首脳は「作業服などは、部署ごとに同じものをばらばらに発注し、ほとんど言い値で買ってきた」と明かす。他方で官僚の天下りを受け入れ、政治への支援も怠らなかった。