2015.5.1 06:20
電力10社の2015年3月期連結決算が30日、出そろった。原発の稼働停止に伴うコスト増で、原発比率の高い関西電力、九州電力、北海道電力の3社が4年連続の経常赤字を余儀なくされた。電気料金の値上げや経営効率化、燃料費削減などが奏功し経常増益または黒字転換した他の7社と明暗を分けた。原発の運転再開時期が見通せないことなどから、中部電力と沖縄電力を除く8社が16年3月期の業績予想を見送った。
経常赤字となった3社の原発比率は10年度末で関電が44%、九電39%、北海道電44%。東京電力の28%や中部電の13%などと比べて高い。このため原発停止に伴うコスト増加分を経営効率化などで補えなかった。同日会見した関電の八木誠社長は「(16年3月期も赤字ならば)企業として成立せず、なんとしても黒字化を目指す」と危機感をあらわにした。
一方、原発停止を受けて実施してきた料金値上げが、各社の利益水準を押し上げた。東北電力や四国電力は13年の夏から秋にかけての値上げが通年で業績改善に効いた。中部電も14年4月以降の値上げ効果などで経常損益が黒字に転換した。
原油価格の下落や火力発電所の効率化などが奏功し、燃料費は関電、中部電、沖縄電を除く7社で減少した。東電の燃料費が5年ぶりに減少に転じるなどして、10社合計の燃料費は7兆2921億円と前期比6%減少した。