「恥ずかしさを捨ててしっかりとアイコンタクトを取ってください」。人材研修の講師が受講生たちに呼びかけた。ここは講義室や会議室ではない。キッチンシンクや調理器具、食材が並ぶクッキングルームだ。料理をつくりながら効果的な組織づくりを学ぶ「クッキング de チームビルディング研修」が静岡市駿河区八幡の静岡ガス エネリアショールーム静岡で行われた。
「富士山みたいにしようか」「サッカーボールがいい」「シラスにお茶…」。課題は静岡県をテーマにしたピザ作りだ。静岡市内にある企業の人事・採用の担当者ら20~30代を中心にした50代までの24人が4班に分かれて話し合っている。
調理台でピザ生地を作り、生地の発酵を待つ間に「ピザをつくろう作戦会議」へと入ったのだ。大きな声でアイデアが飛び交うテーブルもあれば、デザインや味にこだわりを見せて、メンバーの説得を試みる者も。リーダーの色が出るのだろうか。テーブルごとに雰囲気が違うのが面白い。
生地作りで共同作業をしたこともあり、研修の冒頭に「良いチームの条件とは」を話し合ったときと比べて活発に意見を交換している。その後、生地の上に載せる具材作りでも調理場で声を掛け合ってうまく役割を分担していく。富士山型、サッカーボール柄、駿河湾をイメージしたシーフード味など独創的なピザが次々と焼き上がった。