これまでは住民の合意形成が難しく、建て替えが進まなかった。実績は14年4月時点で約1万5500戸にとどまる。新法は、こうした状況を改善するために導入された。マンションを売却する場合、所有者が組合をつくり、デベロッパーに土地と建物をまとめて売り渡すことができるようになった。
また経年に伴って第三者に賃貸する住戸が増え、建て替えを妨げるケースが多い点を考慮。引っ越し代などの補償金を支払えば、借家人の了解を得なくても、自動的に借家権が消滅するようにした。部屋数を増やせるように、容積率を緩和する特例措置も設けた。
新法によってデベロッパー各社は、数百戸単位の大型マンションで建て替えが進むことに期待を寄せる。
バブル経済が崩壊した1990年代後半から、企業はリストラを余儀なくされ、大型マンションの開発に適した工場や社宅跡地が次から次へと売り出された。環境共生型の物件を開発しやすいこともあって人気も高く、2000年以降のマンション市況を支える原動力となったが、こうした動きが一巡。現在は大型マンションを開発できる土地が供給されにくい環境下にある。