投資用のマンションは老朽化すると利回りが低下するが、一定の収入を得られるため投資家はなかなか手放さない。このためワンルームタイプの建て替え実績はゼロだ。
しかし新法では、引っ越し代や家賃補助など補償金を借家人に支払うといった円滑な建て替えに向けた対策を導入。借家人を退去させてマンションを売り渡し、それによって得た資金を元手に他のマンションに投資するという行動を起こしやすくなった。このため利便性の高い場所にあるワンルームマンションはオフィスビルや商業施設として蘇生する可能性も出てくる。
こうした状況を踏まえ、不動産会社や建設会社はマンション建て替え事業を強化している。
新日鉄興和不動産はこれまでに、「横濱紅葉坂レジデンス」(横浜市西区)の開発など平均すると年間1~2件のプロジェクトにかかわってきた。今後は4~5件まで増やし、売上高は倍増の100億円を目指す。住宅事業に占める比率も現状の6~7%から十数%まで引き上げる計画だ。