取引再開を求めると、アップルは従来の半額以下への値下げを要求。やむなくこれに応じたら、アップルはさらに信じられない要求をしてきたという。
不当なリベート要求
「約159万ドル(当時の1ドル=102円程度で計算すると約1億6220万円)のリベートを振り込んでほしい」。資料によると、13年5月のメールだった。値下げ前に島野から購入しアップルの在庫になっていたピンの数に、値下げ分の金額をかけた額だといわれた。島野は支払わざるを得なかった。
これに対し島野は、すでに販売したピンの値下げを不当に要求してきたもので下請けに対する優越的地位の乱用に当たり、独禁法違反だと主張している。
島野は今年8月、提訴に踏み切った。特許権侵害やリベートなどによる損害賠償と、対象となるアダプターやそれを同梱(どうこん)するパソコンの日本での販売差し止めを求めた。同社幹部は「物事には越えてはならない一線がある。約束を破ったことや不当なリベートといったアンフェアにはどうしてもノーと言わなければならない」と話す。和解はせず、あくまで自社の主張を伝えていく考えだ。欧米での提訴も検討している。