韓国の玄関口・仁川国際空港から車で30分ほどの工業団地にあるブカンセムズの本社。レイコップ研究所は本社3階にある。同研究所が日本からの注文で悩んだのはRSに新機能として加えることになった回転ブラシだった。ダニなどをかき出すための振動機能に影響が出ないように組み込むことが技術的に難しかったという。●文鉉(チョウ・ムンヒョン)研究所長(56)は「ブラシとたたきの両技術の同時採用は初めてのチャレンジ。当時は週末に家にいても頭はそのことでいっぱいだった」と振り返る。
日本側の要求は多く、製品組み立てを行う機構開発チームの千龍煕(チョン・ヨンヒ)係長(36)は「細か過ぎる。これで製品ができるのか」と首をかしげるばかりだった。
試作機は10台に上った。李正洙(リ・ジョンス)機構開発チーム部長(49)は「検証は自宅でも行ったが、真夏に家中が冬布団だらけになった」と苦労した思い出を懐かしそうに語る。
海をまたいだ初の製品開発は、日本側の開発の意図が思うように伝わらないなど困難の連続だったが、今ではすべての開発者が「良い製品ができて誇りだ」と話す。
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■新タイプ掃除機続々 裾野を拡大
≪MARKET≫
日本電機工業会(JEMA)によると、電気掃除機の国内出荷額は2013年度が前年度比1.0%増の1129億円と、4年連続でプラスとなった。夏の暑さで急伸したエアコンほどではないものの、白物家電の中では「比較的安定した伸びになっている」(家電部調査統計課)。