高値で取引された稚魚が原料となっている中国産かば焼きをもつ卸業者などが値崩れに巻き込まれないよう販売を急いでいるからだ。実際、5月の大型連休明け以降、都内のスーパーでは1匹1000円を切る中国産かば焼きが出始めたという。
専門店は一安心
相場下落に一安心しているのは、高騰に苦しんできたウナギ専門店だ。例年なら1キロ当たり2500円程度だった仕入れ価格がここ1~2年、5000~6000円に跳ね上がったものの、価格転嫁し切れない専門店もあり、廃業が相次いだ。東京鰻蒲焼商組合では160あった加盟店が90まで減った。「みんな四苦八苦してきた。仕入れ価格の反転で赤字の商売から抜け出せるといい」と三田俊介理事長は期待を寄せる。
三田さんが経営する老舗ウナギ専門店「渋谷松川」(東京都渋谷区)は一昨年、最も安いうな重の「菊」を300円値上げした。現在は2268円だが、今夏以降の値下げを検討している。三田さんは「経営は苦しいが、値段が高くて食べ控えているお客さんのためにも仕入れ価格が下がってきたら(値下げで)期待に応えたい」と話す。