三河湾に面し、養殖ウナギの生産高で長年日本一の町として知られた愛知県旧一色町(現西尾市)。
取引価格が全国の価格に影響するといわれる「一色うなぎ漁業協同組合」で今月中旬、昨年12月に仕込みを始め、今年初めて池揚げされたウナギの取引が始まった。注目された価格は1キロ(4匹)当たり5000円前後。2000円前後で推移した例年に比べると価格は約2.5倍だった。
稚魚が豊漁だったにもかかわらず高値で取引されたが、漁協担当者は「天井に向かう相場だった昨年の最需要期である7月ごろの価格と今年の初値がほぼ同じ」と説明。その上で「安い価格で仕入れた稚魚から育ったウナギが今後入ってくることを踏まえると今が高値。6月以降はかなり下がる」と予想する。
ウナギの養殖事業者は、冬から春にかけて日本や中国などで収穫した体長5~6センチの天然の稚魚を、ビニールハウスで覆った養殖池で水温を約30度に保って、1匹250グラム程度になるまで育てる。早いものでは約半年で出荷される。
ウナギの供給量が本格的に増えるのは1~2カ月先だが、既に先安観は強い。スーパーの仕入れ価格は「3月以降、前年比で3割程度下がった」(日本鰻輸入組合の森山喬司理事長)。