キヤノンは19日、工場で使われる検査装置用のカメラを発売し、産業用カメラ市場に参入した。産業用カメラは製造現場の自動化などで需要が増加しており、市場ニーズをみながらラインアップを増やすことも検討する。主力の一眼レフデジタルカメラの販売が伸び悩む中、新規分野を開拓する。
キヤノンが発売したのは検査装置用カメラ「M15P-CL」。一眼レフカメラで培った技術を活用して開発。約1500万画素の画像センサーを搭載しており、人の目では確認しにくい微細な傷や異物などを正確に検知できるという。
想定価格は約80万円で、生産台数は月50台を見込む。高い品質が求められる液晶パネルやソーラーパネル、光学部品の品質検査などでの利用を想定している。
キヤノンによると、検査装置用カメラ市場は世界で約180億円と推定され、生産ラインの自動化などを背景に増加傾向にある。最近は、より細かな傷などをチェックできる1000万画素以上のカメラのニーズが高まっており、キヤノンは自社の技術力で差別化できるとして参入を決めた。
キヤノンの一眼レフなどレンズ交換式デジカメ販売は昨年、前年度を初めて下回った。今回、産業用カメラ市場に参入することで、新たな需要を取り込みたい考えだ。