日立製作所が8日発表したトップ人事で川村隆会長が6月下旬の株主総会後に相談役に就くことが決まり、経団連の米倉弘昌会長が筆頭副会長の川村氏を軸に進めていた次期経団連会長人事は、仕切り直しを余儀なくされることになった。
川村氏は重電分野へのシフトで日立の業績をV字回復させた経営手腕が高く評価されており、経団連では教育問題、経済外交、アジア・大洋州地域の各委員会で委員長を務めている。6月上旬に2期4年の任期を終える米倉会長は「後任は日本を代表する製造業で財界活動に熱心な方」と話し、川村氏を次期会長の有力候補に据えていた。
だが、川村氏は高齢を理由に固辞し続け、昨秋にはフジサンケイビジネスアイの取材に対しても「私が退かないと日立社内の若返りが進まない」と語っていた。8日の会見で川村氏は「財界活動は現役で仕事をやっている人がいい」と述べ、経団連の活動は日立の会長に就く中西宏明氏に託す考えを示した。
本命が消えたことで「財界総理」選びは白紙に戻った。後任の指名権を持つ米倉氏が製造業にこだわるなら、経団連副会長の中では三菱重工業の大宮英明会長、トヨタ自動車の内山田竹志会長、東芝の佐々木則夫副会長が有力候補に浮上する。製造業以外では三菱商事の小島順彦会長を推す声もある。タイムリミットは目前に迫っている。