食材偽装表示問題が全国に広がるなか、震源地となった関西では財界が事態の行方に神経をとがらせている。問題が発覚したホテルや旅館を抱える鉄道グループや、入居テナントに同様の問題があった百貨店などには経済団体に人材を供給する「関西財界銘柄」が多く、財界活動に影響する可能性もあるからだ。財界関係者には「現時点で活動への影響は限定的」との声は根強いが、先行きが読み切れないだけに思わぬ波紋を広げている。(内山智彦)
けじめの後も拡大
「今後、信頼回復に向けた仕事に全力を挙げる。関西経済連合会の会議や会合には出席しにくくなり、ご迷惑をかける」。発端となった阪急阪神ホテルズ(大阪市)の虚偽表示問題が発覚して1週間余りが経過した10月30日。親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫社長は、関経連を訪れ、自らの関経連副会長としての活動を自粛する考えを伝え、謝罪した。
もともと財界幹部は「食材偽装行為は許されないがグループトップが直接、責任を取る話ではない」「しっかり財界の仕事をすることで世間に返してもらいたい」などの意見が多く、角社長自身の活動を問題視する声はなかった。関係者によると財界側は「直接の当事者である阪急阪神ホテルズの出崎弘社長が引責辞任したことで、けじめはついたと受け止めた」という。