国内大手鉄鋼メーカーに明るさが戻ってきた。大手3社の2014年3月期連結業績予想はいずれも前期を大きく上回る。円高是正により輸出が好調な自動車業界や東日本大震災からの復興に向けて繁忙な建設業界から旺盛な引き合いを受けているからだ。だが世界に目を向けると、東アジアを中心に需給は緩んだままで、外的要因からの脅威はまだまだ続く。国内鉄鋼メーカーの“真の復活”には時間を要しそうだ。
慢性的需給ギャップ
「全般的な傾向として需要は堅調度を増し、操業度も高まっている」。日本鉄鋼連盟の友野宏会長(新日鉄住金社長)は、国内鉄鋼業界の現状をこう総括する。
神戸製鋼所の加古川製鉄所(兵庫県加古川市)では、熱間圧延ラインの稼働率が1年前に比べ1割程度上昇した。連続操業も増え、生産スピードを上げて需要に対応している。
大手3社はいずれも先行きに強気だ。「アベノミクス」効果について当初、「素材産業への波及は他産業より遅れる」と指摘されていたが、円安効果が浸透、各社の実績を押し上げた。