■修羅場の4年間経て変化
6月14日。愛知県豊田市で開かれたトヨタ自動車の株主総会。社長の豊田章男は出席した株主に、静かにこう語りかけた。
「就任以来、多くの困難に直面してきました。そこから学んだことは『持続的に成長する』ことが最も重要ということです。台数の拡大が成長ではないということを痛感しました」
2008年秋のリーマン・ショック、米国での大規模なリコール(回収・無償修理)問題、そして東日本大震災。09年6月の就任以来、豊田にとってこの4年間は、まさに修羅場の連続だった。
リコール問題で豊田とともに米議会の公聴会に出席した北米本部長のジェームズ・レンツは「顧客に耳を傾けること、迅速に行動すること、そしていかに透明性を高めるかを学んだ。その後の取り組みで顧客は戻ってきている」と手応えを実感している。
例えば、昨年4月に米国で発売した新型セダン「アバロン」は、米カリフォルニアのデザイン部門が担当するなど、車両の開発をすべて米国主導で進めた。この現地に根ざしたクルマづくりが受け入れられ、販売は好調に推移しており、今年1~8月の米国全体の販売台数は153万4000台と前年同期に比べ9.6%増加した。