経済協力開発機構(OECD)に加盟する日本は1998年、「外国公務員への贈賄防止条約」を締結。不正競争防止法を改正し、贈賄企業を取り締まる環境を整備した。しかし、日本国内でこれまで摘発された事件は、今回を含めて4件にとどまる。
汚職を監視するNPO法人「トランスペアレンシー・ジャパン」(東京)によると、OECD加盟国の2011年までの摘発件数は計708件。トップの米国は275件、2位のドイツは176件に上る。摘発が低調な日本はOECDからたびたび、「経済規模の割に摘発件数が少なく、積極的な取り締まりをしていない」と勧告を受けてきた。
経済産業省によると、11年度末現在、日系企業の海外の現地法人数は約1万9千社で、中国に約3割が集中している。トランスペアレンシー・ジャパンの若林亜紀事務局長は「グローバルな商取引から賄賂を排除するのは、もはや世界の常識になりつつある。今回の事件を教訓に、中国進出企業がビジネス手法を考え直すとともに、捜査当局が不正の積極摘発に取り組むことを期待したい」としている。