2013.10.13 07:00
【衝撃事件の核心】
中国にはびこる汚職の罠(わな)にはまったのは、日本が誇るトヨタグループの優良企業だった。中国の地方政府幹部に現金などを渡したとして、自動車マフラー最大手「フタバ産業」(東証1部)の元専務が9月、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑で愛知県警に逮捕された。元専務が中国の各方面にばらまいた賄賂の総額は5千万円超。5年間で22万人の汚職公務員が摘発されたといわれる中国では、「企業の進出に賄賂は必要悪」とも囁(ささや)かれる。
一方で、日本は経済協力開発機構(OECD)から「経済規模の割に(海外への贈賄行為の)摘発件数が少ない」と勧告されてきた。専門家は今回の事件を契機に「中国進出企業がビジネス手法を考え直すときだ」と指摘している。
役人買収で処分回避
事件のきっかけになった出来事は、フタバ産業の現地法人が運営していた広東省の部品工場で起きた。
2006(平成18)年11月、工場に中国の税関当局が査察に入った。この際、関税が優遇されている機械を無断で別の工場に移設していたことが発覚。工場は税関当局から違法操業を指摘された。一時操業停止や生産停止といった厳しい処分が予想される事態だった。