「驚いた」。岩井コスモ証券の有沢正一・投資調査部副部長は、パナソニックの中期計画に自分の耳を疑ったという。同社は「日の丸家電の雄」として華々しい歴史を築いてきたからだ。
パナソニックが脱家電に踏み込まざるを得なかった背景には、デジタル家電のコモディティー(汎用=はんよう)化で利益を生み出せなくなった実態がある。
「家電の王様」(中村氏)と力を入れた大画面テレビの価格は年々“急降下”。家電量販店に価格決定権を奪われ、採算が取れなくなっていた。
有沢副部長は寂しそうにつぶやく。
「家電は薄利多売のビジネスになってしまったが、パナソニックが本業をあきらめてしまうなんて…」
「水道哲学」今や昔
デジタル家電価格の“暴落”は国内各社を苦しめたが、実は高根の花だった家電を大量生産し、低価格で売り出すことに成功したのは、松下電器産業や三洋電機だった。