2013.6.26 08:00
「かなり揺れます。酔い止めの準備を。車が立ち往生したら、ドライバーと一緒に押すことになるので…」
トアルコ・ジャヤの中野正崇副社長がそう警告する通り6月初旬に訪れた農園までの道は、50センチ以上の深さはあろうかというわだちもある悪路。「以前、車が横倒しになったこともある」(中野副社長)といい、激しい揺れに身体を支えるのがやっとだった。
たどり着くのも大変な“秘境”で生産する理由は、同地が高品質なアラビカ種とよばれる品種の生産に最適なため。標高1000メートルを超える高地ながら、赤道直下で日中の日差しは強く、雨量も多いうえに、土壌も肥沃(ひよく)だ。
「すべての要素がバランスよくそろっている」。早朝、高台から眼下の農場を覆うように広がる幻想的な雲海を見渡しながら、ユスフ農場長はそう誇らしげに語った。約30万本のコーヒーの木がうっそうと茂る530ヘクタール(東京ドーム約110個分)の広大な農場では、6月にコーヒーの実が真っ赤に熟し始め、7月にかけて収穫のピークを迎える。