実は、らくらくスマホにボタンを取り付けるか議論もしたという。「押す感覚が得られるタッチパネルが本当に必要なのか」「先行例がない」。
何回も議論を繰り返し、たどり着いたのは「富士通が本気で作る製品。使いやすいタッチパネルを作ろう」という結論だった。
触って押し込むような感覚など、ボタンのような手応えのある反応を盛り込むという技術的な課題を乗り越え、圧力を検知する新構造のタッチパネルを開発。さらに、高精細な画面や、本体の小型化にも注力した。
もうひとつの問題点は、いかに表示画面をわかりやすくするかだった。採用するOS(基本ソフト)を開発したグーグルと交渉し、高齢者向けの独自の表示を採用した。
らくらくホンで築いたノウハウを使って文字の大きさ、色合い、ボタンの大きさ、配置を決めた。電話、メール、電話帳の大きなボタンが、らくらくホンの象徴。スマホでもこの3機能をわかりやすく最初の画面に配置し、使う人の安心感に配慮した。