その上で、確実なニーズを製品に反映するため、1年間の市場調査で、高齢者が具体的にスマホに何を求めるのかを探った。
3千人以上もの国内外の高齢者に、生活習慣や求めるデザイン、必要な機能などのアイデアを聞き集めた。試作品のモニター調査で、2カ月間、100人以上に10回以上にわたって評価をしてもらった。
その結果、らくらくスマホに期待されたのは「画面の見やすさや大きさ。タッチ画面の操作性の魅力。そしてもうひとつは『スマホへの漠然とした興味』」だった。このヒントをきっかけに、初心者向けのスマホのコンセプトを固めていった。
市場調査の結果がまとまると、開発チームも動き出した。最初の難関はタッチパネルだった。従来型の携帯電話に慣れた高齢者の操作への戸惑いが想定された。「目指したのは『怖がられないスマホ』。どこを触っているか分かるタッチパネルを目指した」(上原氏)。