百貨店、夏セールを前倒し 選挙の影響回避、英EU離脱で消費停滞を懸念
高島屋など大手百貨店が夏のセールを前倒しし、相次ぎ7月1日に開始する。昨年より1~2週間早め、個人消費を喚起したい考えだ。株安などで低迷する個人消費は、英国の欧州連合(EU)離脱を受け、一段と冷え込みかねない。また、セール開始直後の日曜日と、参院選の投開票日の7月10日をずらす狙いもある。(大柳聡庸)
「英国のEU離脱で不透明感は強まっている」。高島屋の村田善郎常務は、個人消費のさらなる低迷に警戒感を隠さない。
百貨店にとって7月は、歳末商戦の12月に次ぐかき入れ時。ところが足元では中国人観光客による“爆買い”に陰りが見え、年明け以降の株安などで売り上げは低迷している。
日本百貨店協会によれば衣料品や靴、バッグなどが落ち込み、5月の全国売上高は前年同月比5.1%減と3カ月連続でマイナスだった。追い打ちをかけるように英国民投票でEU離脱派が勝利して株安が進行。富裕層を中心に消費行動が鈍る恐れがある。
セールを早めるのは、低迷する需要を喚起する狙いとは別に、参院選の影響もある。仮に昨年の集中日だった8日にセールをスタートした場合、直後の日曜日は投開票日と重なる。セール開始直後で来客が増える週末に売り上げを伸ばすのが例年のやり方で、今年は参院選の影響を回避する必要があると判断した。
大丸松坂屋百貨店や高島屋、阪急阪神百貨店は昨年と比べ1週間、東武百貨店は2週間早め、7月1日にセールを開始する。中元商戦のピークは6月末から7月の初め。高島屋は「中元商戦で来店が増えるタイミングでセールを開始したほうが顧客の利便性が高い」(幹部)と判断した。昨年も1日にセールを開始したそごう・西武は「1日のセール開始を顧客に浸透させる」(幹部)狙いだ。
一方、ここ数年、7月中旬のセール開始を続けている三越伊勢丹は、他社とは一線を画し今夏も13日からスタート。9月まで暑さが長く続くことを想定し、セールの前倒しによる需要の先食いを回避する。
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