マック総会、株主から不満続出 業績不振「表面的な説明だけ…先行き見えない」

 

 業績不振にあえいでいる日本マクドナルドホールディングス(HD)が29日に東京都内で株主総会を開いた。総会には昨年よりも252人少ない985人が出席。サラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)らは業績が改善傾向にあることを強調したが、株主からは先行きの展望がはっきりと見えてこないことなどに不満の声があった。

 カサノバ社長は冒頭、「(上場来最大の赤字を計上した2015年12月期)業績については重く受け止めている。昨年後半から勢いを取り戻しており、今年は明るい一年になると確信している」とあいさつ。その上で「回復を遂げ、中期的な成長を実現する」と業績回復に向け意欲を示した。

 質疑応答では22人の株主が質問に立ち、「新業態として和食を展開してはどうか」「米国本社による日本マクドナルドHD株の売却の進展状況は」などと、今後の事業や経営方針を問いただした。

 これに対し経営陣は、消費者の意見を聞き取ってきた努力のほか、店舗閉鎖など、これまでの業績改善の取り組みについて説明。今年は引き続き品質管理を徹底するほか、既存店の500~600店の改装を行う計画を明らかにした。取締役の選任など会社提案の5つの議案は全て承認された。総会は昨年より9分短い2時間34分で終わった。

 総会に出席した株主からは、「(経営陣は)表面的な説明だけで、将来の展望は全く見えなかった」(70代男性)、「一度失った信頼を取り戻すのは容易ではない。信頼回復にはまだ時間がかかる」(40代男性)などと会社側の説明に納得せず、経営の先行きに懸念を示す声が聞かれた。

 新商品の名称を公募したハンバーガーなどの新メニューや期間限定商品の投入効果などで昨年12月以降、既存店売上高がプラスに転じており、明るい兆しが出ているのは事実。だが、使用期限切れ鶏肉問題と、異物混入問題発覚前の水準にはほど遠い。カサノバ社長が宣言した「明るい一年になると確信する」を見極めるにはもうしばらく時間が必要だ。(松元洋平)