営業利益率、早期に10%台半ばへ 三菱重工のエネルギー事業

 

 三菱重工業の名山理介常務執行役員エネルギー・環境ドメイン長が8日、フジサンケイビジネスアイなどの取材に応じ、原子力、火力発電などのエネルギー事業で、競合する米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスの産業部門と同レベルとなる営業利益率10%台半ばを早期に達成させたい考えを明らかにした。

 同社の2014年度のエネルギー事業の営業利益率は10%程度だが、「技術に再投資するには競合他社と同レベルの利益水準にしなければ、競争に取り残される」とした。その上で、「競合他社のようにサービス比率を上げる必要がある」と語った。

 これまで海外のメンテナンスサービスは地元企業が手がけるケースが多かった。「今後は現地で優秀な人材を取り込み、当社の工場を活用し、サービス比率を上げたい」と語った。強化したい地域については北アフリカや中東などを挙げた。

 日本の原発については「発電手段の選択肢として持っていないといけない」と述べた。「現在は再稼働に資源を投入しており、今後は廃炉を決めた原発の支援や代替需要が出てくる」との見通しを示した。

 現在、中国政府も原発の海外輸出に力を入れているが、「これから低価格を武器にさらに攻めてくるかもしれない」と警戒感をみせた。海外の原発についてはトルコとベトナムに提案中で「この案件を慎重に行ってから先を考えたい」と語った。

 また、三菱重工は仏原子力大手アレバと子会社のアレバNPへの出資について交渉している。1~2月の基本合意を目指していたが、仏電力公社(EDF)とアレバNPの買収価格の交渉が難航し基本合意が遅れており、「状況についてはコメントできない」と言及を避けた。

 三菱重工は13年にデンマークの洋上風力発電設備大手ヴェスタスと合弁会社「MHIヴェスタス」を設立し、市場シェアの約6割を握るシーメンスを追いかけている。今後、「シェア3割は取れる。2位の地位を着実に維持したい」と述べた。