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タイ観光業の見通し明るく 14年収入予想、6.3兆円に上方修正

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タイ観光業の見通し明るく 14年収入予想、6.3兆円に上方修正

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 タイ政府が観光業の前途に自信を深めている。タイ観光・スポーツ省は今年7月、2014年の観光収入予想を2兆バーツ(約6兆億2600億円)とし、従来予想の1兆8000億バーツから上方修正した。

 15年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の市場統合に向けて域内の観光拠点としての地位を確立し、同年には収入2兆2000億バーツを目指す。現地紙ネーションなどが報じた。

 昨年、同国を訪れた外国人観光客数は2235万人、観光収入は9840億バーツだった。今年上期(1~6月期)は前年同期比で20%増となる1270万人が訪れ、自信を深めた同省は観光収入予想の引き上げを決めた。今後は客単価の高い富裕層の呼び込みを強化し、合わせて滞在日数を延ばす工夫も模索していく方向だ。

 ソムサック観光・スポーツ相によると、日中関係の悪化で両国間の観光客の往来が減少しているのにともない、タイを訪れる日本人と中国人が増加しているという。同相は両国からの観光客の増加が今後も続くと予想したうえで、観光業の見通しは明るいとの認識を示した。

 同相は今後の課題として「観光客の安全確保が最優先課題となる」と述べ、南部プーケットと中部パタヤの両観光地で組織犯罪の撲滅を目指す意向を表明した。両市は風光明媚(めいび)なビーチなどで知られる一方、パタヤでタクシーや水上バイクといった観光ビジネスに犯罪組織が関与しているとされるなど、治安面に不安を残している。

 また、ASEANでは現在、加盟10カ国で観光客に対して域内の自由な往来を認めるための交渉が進行中だ。域内全体の観光客増加を目指す措置だが、タイはこの中で域内観光拠点の地位を確保したい考えだ。

 このため、タイはアジアでシェア約50%を占めるとされる医療ツーリズムや、昨年、790億バーツの観光収入に貢献したMICE(マイス=展示会や国際会議などを主催して観光客を呼び込む観光事業)など、観光の多様化にも官民を挙げて取り組んでいる。

 一方、同国の観光業の課題として輸送や通信インフラの整備の遅れを指摘する声も依然として多い。タイ観光協議会幹部が「高速鉄道の設置で沿線の観光開発も進む」と述べたほか、国内観光協会幹部も「治安が最優先課題なのは当然だが、情報の収集・発信能力の向上も重要だ」としている。

 ASEAN各国は雇用の増加や収入の確保につながる観光業の育成・強化にこぞって注力している。自国の観光業の成長に自信を深めるタイだが、マレーシアやインドネシアなども観光拠点を目指すとしており、域内外からの観光客呼び込みで各国の競争は激しさを増していきそうだ。(シンガポール支局)

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