SankeiBiz for mobile

一つずつ積み上げるものづくり感が好き 舞台「君となら」 竹内結子さんインタビュー

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

一つずつ積み上げるものづくり感が好き 舞台「君となら」 竹内結子さんインタビュー

更新

「どんなに悪いことをした人も、人間っぽく、愛すべき存在として描く。三谷作品のそんなところが好きです」と語る、女優の竹内結子(ゆうこ)さん=2014年7月15日、東京都新宿区(小野淳一撮影)  「いつかは舞台に立ちたいと思っていた」という女優、竹内結子(ゆうこ、34)が今日(8月)9日開幕の三谷幸喜作・演出の「君となら」で初舞台を踏む。

 映像出演が引きも切らない人気女優。舞台のオファーは過去にもあった。今、なぜ舞台にと聞くと、「三谷さんからお話をいただいたから。やる、やる、と二つ返事で乗り出しました」。

 竹内が過去、出演した三谷作品を振り返ると、「ステキな隠し撮り」(2011年)、「大空港2013」(13年)など、舞台のようにノンストップでカメラを回してシーンを撮り切るドラマが続いた。「ステキな隠し撮り」では、劇中、竹内が足を滑らせ転倒するハプニングが。共演の深津絵里の機転も借りて切り抜けると「面白い」と評判になった。続く「大空港-」は、共演者とのアドリブの応酬に打って出て、100分間、ノンストップで演じ切った。

 これらの作品は、初舞台への心の準備にもなったようだ。「お芝居にストップ、カットという人がいない。怖いと思いましたし、すごい緊張感でした。でも、スリリングな状況に身を置いている状況を、どこか楽しんでいる自分がいて、ああ、生きているって思えた」。三谷が竹内を「くそ度胸がある」と評したのがうなずけるエピソードだ。

 難易度は高いです

 そんな竹内の初舞台「君となら」は、嘘や誤解が数珠つなぎに転がっていく、三谷ならではの抱腹絶倒のホームコメディー。

 小磯家の長女あゆみ(竹内)にケニーと呼ぶ恋人(小林勝也)が。父(草刈正雄)や母(長野里美)はケニーは青年実業家だと思い込むが、実は父より年上の70歳。真実を告げ、ケニーとの結婚を認めてもらいたいと思うあゆみだが、それとは裏腹にその場を取り繕い、嘘やごまかしを重ねてしまう。

 「家族や大切な人を思いやる気持ちはあるけれど、正直でいる勇気はない。ごまかしを言ったそばから、あちゃー、そんなつもりじゃなかったんだけれどなー、って後悔するんです。一つ嘘をついたら、つき続けないといけない、その怖さも感じます。見ている人は、ああ、ここで本当のことを…とあゆみの背中を押したくなったり、この人ダメだわぁ、という気持ちになるんじゃないでしょうか」

 1995、97年に山田和也演出で上演され、再演が待たれた人気戯曲。読んでみて「ゲラゲラ笑った」というが、「その中に入り、演じるとなると別。ちょっとした掛け違いでどんどん物語が転がっていくので、その間合いの取り方など、難易度は高いです」と、自身の演技を語ったとたん真剣なまなざしになった。

 最初は「ダメ出し」という演劇用語に「どれほど否定されるんだろう」とビクビクしたそうだが、「毎日みんなが稽古場に集まってきて、ヨガマットを並べてストレッチから始める、この温かい雰囲気や、一つずつ積み上げてものづくりする感じが好きですね」。時代を代表する女優の一人となってもなお、新たな挑戦を楽しそうに語ったのだった。(文:津川綾子/撮影:小野淳一/SANKEI EXPRESS

 ■たけうち・ゆうこ 1980年4月1日、埼玉県出身。96年にドラマ「新・木曜の怪談Cyborg」でデビュー。ドラマは、NHK連続テレビ小説「あすか」(99~2000年)、「ランチの女王」(02年)、「ダンダリン 労働基準監督官」(13年)など、映画は「黄泉がえり」(03年)、「いま、会いにゆきます」(04年)、「春の雪」(05年)で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。10月11日に映画「ふしぎな岬の物語」が公開になる。

 【ガイド】

 8月9日~9月15日:パルコ劇場(東京)、劇場 (電)03・3477・5858。9月17~23日:シアター・ドラマシティ(大阪)、キョードーインフォメーション (電)06・7732・8888。9月25~28日:名鉄ホール(名古屋)、メ~テレ事業部 (電)052・331・9966

ランキング