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苦楽もごった煮、人生のような物語 水野美紀、川本成 舞台「ハッピーセット」

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苦楽もごった煮、人生のような物語 水野美紀、川本成 舞台「ハッピーセット」

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ギャクマンガ的展開の中に、家族愛を漂わせた「ハッピーセット」の1シーン。小さなちゃぶ台を囲む親子役の(左から)水野美紀、藤原祐規、川本成=2014年7月18日(提供写真)  「プロペラ犬」の水野美紀と「時速246億」の川本成、演劇ユニットを主宰する2人が、異色の脚本家4人と日替わりゲスト出演陣を迎え、演劇版「夏フェス」のようにお祭りムードのオムニバス劇を生んだ。

 息子・たつひろ(藤原祐規)の視点を借り、父・ひとす(川本)と母・きよみ(水野)の夫婦像をひもとく家族劇。けんかばかりの両親に嫌気がさし、家出したたつひろが、過去にさかのぼる能力を持つ老人(諸岡立身)に力を借り、夫婦の過去を探っていく。演出は川尻恵太。

 4人の脚本家が描き分けた夫婦の過去は、味わいさまざま。夫婦が「親」になり間もない場面は、深夜ドラマ系のマニアックな笑いに定評がある福田雄一が担当。新喜劇のようなズッコケ芸を繰り広げながら、奥底で、ダメ亭主と乳飲み子を抱えるきよみの強さ、けなげさを浮き彫りに。続く園子温(「ヒミズ」などの映画監督)の脚本による場面は、浮気とセックスレスという夫婦の暗部に切り込む一方で、若い極貧夫婦のささやかな幸せも漂わせた。また夫婦の中学時代(作・喜安浩平)は甘酸っぱく、小林顕作(コンドルズ)による場面3つは最もナンセンスなタッチに。下ネタなどシュールな笑いは好みが分かれそうだが、苦笑いも泣き笑いもごった煮になった物語はきれいごとでは立ち行かない人生そのもの。体を張り七転び八起きを演じた水野に母や女のたくましさを見た。8月3日まで、東京・赤坂の赤坂レッドシアター。(津川綾子/SANKEI EXPRESS

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