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五感を刺激 小中学生も楽しめる 舞台「暗いところからやってくる」「GIGANT」

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五感を刺激 小中学生も楽しめる 舞台「暗いところからやってくる」「GIGANT」

更新

「暗いところからやってくる」の2012年上演時の1シーン。マンガを読む輝夫に「なにか」の気配が近づく=2012年7月24日(田中亜紀さん撮影、提供写真)  間もなく1学期が終わり、夏休みになる。この時期、映画だけでなく舞台でも、小・中学生の観客を前提にし、大人でも楽しめる作品がいくつか上演される。

 匂いや音にも工夫

 KAAT神奈川芸術劇場(横浜市)が2012年に制作、今夏は7月18日のKAATを皮切りに全国8カ所で上演する「暗いところからやってくる」は、脚本が劇団「イキウメ」主宰の前川知大、演出は小川絵梨子と、今最も人気の高い2人が手がける。再演では人物像をより深め、前回も試みた匂いや音による演出をより工夫して「五感で“みる”」芝居に仕立てる。

 祖母が亡くなり、古くて薄暗いその家に住むことになった中学生・輝夫(大窪人衛)を主役に、2学期が始まる直前、夏休みの3日間を描く。観客席は輝夫の部屋の舞台セットを囲むようにしつらえ、観客はまるで部屋の片隅で、輝夫の身に起こる不思議なことを体験するように見る。前回上演では「向き合う客席から子供たちのリアクションが作品の一部として目に入った」(前川)、「笑ったり怖がったりする素直な感情表現に、大人もつられるようにお芝居の世界に引き込まれていく。子供たちの存在が作品を完成させた」(小川)といい、虚構が現実と地続きになる演劇ならではの醍醐味が味わえたようだ。

 ワークショップも

 世田谷パブリックシアター(東京都世田谷区)も、7~8月、この「暗いところからやってくる」を含む5本の舞台やコンサートを上演する「せたがやこどもプロジェクト2014」を開催。その演目の一つが、ユーモラスなダンスが国内外で人気を集めるダンスカンパニー「コンドルズ」(近藤良平主宰)の新作「GIGANT(ギガント)」だ。子供たちにもなじみがある「ガリバー旅行記」の世界観をモチーフにし、ダイナミックなパフォーマンスを繰り広げる。

 この2作品は上演だけでなく、子供向けのワークショップも行う。「ギガント」では公募の小学生が約1~2カ月間、数回の稽古を重ね、ガリバー旅行記に出てくるリリパット国の小人を思わせる設定で実際の舞台で約15分間のオープニングアクトを務める。「中学ではダンスが必修化され、点数がつくものになったけれど、本来、正解も間違いもないのがダンスの楽しいところ。子供たちに自由なダンスの楽しさを知ってもらいたい」とコンドルズの勝山康晴プロデューサーは話す。

 また「暗いところからやってくる」では上演前の舞台上に小学生が立ち、劇中シーンの演技を体験。“演技の種”を少し明かされることで、子供たちを劇世界に引き込む準備を試みる。

 また両作品とも家族で見やすいよう低年齢ではチケット価格をリーズナブルにした。上演時間も2時間以内に絞るなど、「高価なチケット代」と「長い上演時間」という、舞台の敷居を高くする2つの課題をクリアした。「暗いところからやってくる」はKAATと世田パブで、子供(KAATは高校生以下、世田谷は4歳~小学生)は1000円、親子ペアなら4000円で観劇できる。「ギガント」は4歳~高校生以下はA席1500円だ。

 この夏、気軽に舞台を見られるチャンスを、ぜひ活用してはいかがだろうか。(津川綾子/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 ■舞台「暗いところからやってくる」(上演予定時間1時間

月10分) 18~21日 KAAT神奈川芸術劇場中スタジオ(横浜)。チケットかながわ(電)0570・015・415。8月1~3日 世田谷パブリックシアターのシアタートラム(東京)。劇場チケットセンター(電)03・5432・1515。ほか水戸、佐世保、大野城、豊橋、春日井、北九州公演あり。

 ■舞台「GIGANT」(上演予定時間1時間45分) 7月24~27日 世田谷パブリックシアター(東京)。劇場チケットセンター(電)03・5432・1515。※一部上演日に子供たちによるオープニングアクト(15~20分)あり。ほか静岡、富山、豊橋、大阪、広島、福岡公演あり。

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