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現代にも通じる若者らしさを漂わせて 舞台「ロミオとジュリエット」 菅田将暉さんインタビュー
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「いろんな感性に触れたい」と美術館によく行くという菅田将暉(すだ・まさき)さん。数学や、ものづくり好きだという一面もある=2014年7月21日、埼玉県さいたま市(早坂洋祐撮影) ダダダダダッ…と板張りの床を駆け回る靴音が、小気味よく響く。彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市)で8月7日から上演の「ロミオとジュリエット」の稽古場。英文豪シェークスピアの青春悲劇を、芸術監督の蜷川幸雄(78)がシェークスピアの時代と同じオール・メール(男性俳優のみ)形式で演出、上演する。7月下旬、稽古場を取材すると、若い俳優たちが剣をかざす輪の中に、汗をしたたかにかいたロミオ役の菅田将暉(すだ・まさき、21)がいた。
2012年のジョナサン・マンビィ演出版ではロミオの親友、マキューシオ役を経験。「いつかロミオ役をやりたいと思っていました。それが念願の蜷川さんの舞台に出る形でかなうとは。うれしかったです」
イタリア・ヴェローナの名家、モンタギュー家の息子・ロミオと敵対するキャピュレット家のジュリエットのはかない悲恋で知られる戯曲だが、菅田はむしろ、ロミオが仲間たちと生む熱狂的な空気感を大切にしたいと考えている。
「ロミオは、別の女の子に熱をあげてたのに、ころっとジュリエットを好きになった。この物語は結局、たった5日の間に起こった、若気の至りという面もあります。ロミオや親友のマキューシオやベンヴォーリオにある、素直さ、自由さといった、現代の僕らにも通じる青っぽい若者らしさを漂わせて演じたい」という。
稽古場での表情は、お茶の間の人気を博したNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」の西門泰介役で見せた穏やかなものとは違った。脈々と演じ伝えられてきたロミオ役を「せりふの知的な響きを大切にしたい。人とは違う演じ方をしたい」と、いい意味での貪欲さを隠さない。強い眼光や、四隅がめくれた台本がそれを物語る。
蜷川が稽古中、他の俳優に、「俳優として自分を証明する何かを見せろ」と気合を入れると、菅田も聞き入った。「蜷川さんがそんなふうに考えてるんだ、自分はそこまで見えてなかったって悔しくなるときがあります。誰に向けられた言葉でも、常に耳を傾けておかなければ、という意識です」
そんな稽古が今は楽しい。「ちゃんと苦悶(くもん)できているという実感があるから」(文:津川綾子/撮影:早坂洋祐/SANKEI EXPRESS)
8月7~24日。彩の国さいたま芸術劇場小ホール(埼玉) 劇場(電)0570・064・939。