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シリアスと笑い プロレス映画は魅力的 映画「ママはレスリング・クイーン」 ジャン=マルク・ルドニツキ監督インタビュー

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シリアスと笑い プロレス映画は魅力的 映画「ママはレスリング・クイーン」 ジャン=マルク・ルドニツキ監督インタビュー

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日本を代表するプロレスラー兼格闘家、朱里(しゅり)選手(上)からプロレスのイロハをたたき込まれるジャン・マルク・ルドニツキ監督=2014年6月18日、東京都中央区銀座(寺河内美奈撮影)  先日、米最大のプロレス団体「WWE」がフランス映画のリメーク権を獲得したと発表した。映画の原題は「Les Reines Du Ring」。昨年(2013年)7月にフランス本国で上映され、なんとあの名女優、ナタリー・バイ(66)が水着を着て、100キロ近いメキシコの女子プロレスラーと激しい戦いを繰り広げたことで話題となった。WWEの説明によると、リメーク作品は「はちゃめちゃなコメディー」になるそうだが、日本では「ママはレスリング・クイーン」とのタイトルで劇場公開される“本家”の方はトーンがまったく違う。プライベートでさまざまな問題を抱えた4人の中年女性が、プロレスを通してかつての心の輝きを取り戻すまでを追ったハートフルな人間ドラマだ。

 北フランスの田舎町。とある刑事事件を起こして服役していたシングルマザーのローズ(マリルー・ベリ)が刑期を終えて出所する。新しい父母のもとで人生の再スタートを強いられていた息子、ミカエルのもとへ真っ先に駆けつけるが、息子はローズを忌み嫌い、再会を拒んでしまう。

 ミカエルがプロレス好きであることを知ったローズは、ミカエルとの関係を修復しようと、プロレスラーになることを決意。勤務先のスーパーマーケットで一緒にレジ係を務めるコレット(バイ)、ジェシカ(オドレイ・フルーロ)、ヴィヴィアン(コリンヌ・マシエロ)とプロレスチームを結成し、メキシコの強豪レスラーとの対戦を目指し、猛特訓をスタートしたが…。

 生きるうえでの参考に

 プロモーションで来日したジャン=マルク・ルドニツキ監督(45)は「フランス発の映画が米国でリメークされ形を変えて見てもらえるなんてうれしいよ」と声を弾ませるものの、実はこの映画の監督を務めるまでは「大のプロレス音痴」だったそうだ。監督就任への打診に「これはすごい!」と飛びついたのは、「シリアスな人間ドラマに少々の笑いをスパイスとしてピリリと振りかけるのが僕の作風。登場人物も庶民が好きなので、この作品の脚本は魅力的に思えたから」。ルドニツキ監督は意外なところに転がっていたネタにほくそ笑み、プロレスの勉強をスタートしたという。

 4人の人物設定を血気盛んな20代ではなく、40~50代と高くしたのはなぜだろう。「人生でいろんなつらい経験をした女性たちをちりばめて、映画を見る人に生きるうえでの参考にしてもらいたかったんだ」。刑事事件を起こしたり、大柄な容姿にコンプレックスを持っていたり、浮気性の夫に疲れ果てたり、血眼になって恋人探しに走ったり…。確かに放ってはおけない、魅力たっぷりの女性たちが登場する。

 それにしても、60代のバイがよく出演に応じたものだ。身長163センチと、女子レスラーとしてはそこそこの上背があるとはいえ、危険なオファーではなかったのか。ルドニツキ監督は敬意を込めてバイの気持ちを推し量った。「大女優というものは、決しておごることはなく、常に新しい可能性を求めて挑戦するものですよ」。7月19日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS

 ■Jean-Marc Rudnicki 1969年7月4日、フランス生まれ。テレビドラマの脚本を手がけ、主にサスペンスや刑事ドラマで高い評価を得た。2009年に演出家デビュー。本作「ママはレスリング・クイーン」で映画監督デビュー。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2014年7月23日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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