SankeiBiz for mobile

人気アメコミ主役が“性別変更” 「衝撃的かつ刺激的な変化」に挑む理由

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

人気アメコミ主役が“性別変更” 「衝撃的かつ刺激的な変化」に挑む理由

更新

 雷(いかずち)のハンマーで神々の敵と戦う北欧神話の「雷神トール」から着想を得たスーパーヒーローが大活躍する米人気漫画「マイティ・ソー」について、出版元のマーヴェル・コミックスは7月15日、主人公「ソー」を男性から女性に変更すると発表した。

 10月スタートの新シリーズから登場する。ヒーロー漫画になじみが薄い女性ファンを開拓するのが狙い。ディズニー・アニメ初のダブル・ヒロイン(姉妹)が登場する「アナと雪の女王」が昨年(2013年)冬から爆発的にヒットし、6月には米映画「スター・ウォーズ」初の女の子向け玩具の発売が決まるなど男性中心だった米国の“ヒーロー”を取り巻く環境が激変している。

 「マイティ・ソー」

 「ソーが持つハンマーには『このハンマーを手にした者は誰であれ、もし彼にその価値があれば、必ずソーの力が与えられる』との碑文が刻まれているが、この碑文を更新する時がきた」

 マーヴェルの編集者、ウィル・モス氏は、今回の性別変更についてこう説明し「新たなソーは女性による一時的なキャラクターではなく、今後、唯一無二のソーになる。彼女にはその価値がある」と意義を訴えた。

 米誌タイムや英紙ガーディアン(いずれも電子版)などによると、「マイティ・ソー」は1962年から連載が始まり、2011年と13年にはハリウッドで映画化され大ヒットした。

 マーヴェルのヒーローではキャプテン・アメリカ、アイアンマンと並ぶ“3大人気キャラ”で知られる「ソー」だが、とりわけ筋骨隆々(りゅうりゅう)でマッチョで男性的なキャラクターであることから、マーヴェル側も彼の性別変更は「最も衝撃的かつ刺激的な変化」と説明する。

 女性ファン取り込め

 それだけに、この決定に米の漫画オタクたちはツイッターなどで「マジか? レディー・ソー? マーヴェル、最悪」と猛反発している。とはいえ、マーヴェル側にとっては、こうしたヒーロー好きの男性ファンより、新たな女性ファンの取り込みの方が重要なのだ。

 米誌タイム(電子版)は今回のマーヴェルの決断にからみ、米アニメ系ニュースサイト、コミックス・ビートの今年2月の調査結果を引用、フェイスブックでファンページを作っている全米のアニメファンのうち、約47%は女性だが、彼女たちの約62%は「ブラックウィドウ」や「エレクトラ」といった女性キャラのファンだと伝えた。

 実際「ソー」の性別変更は女性には好評なようで、米ブログサイト、ハフィントンポストは、女優、ウーピー・ゴールドバーグさん(58)がテレビ番組で発した「『ソー』のハンマーが史上初めて女性に委ねられることになった。良いことだわ。だって『ソー』は女性だから」との発言を報じた。

 「スター・ウォーズ」は女子向け玩具

 こうした動きは漫画だけにとどまらない。

 「アナと雪の女王」の爆発的ヒットは、女性の社会的自立に加え、同性愛まで容認するかのようなディズニーとしては画期的な内容に起因している。

 また6月4日付米誌タイム(電子版)によると、「スター・ウォーズ」のあらゆる権利を入手したディズニーが、英国の母親の訴えに端を発したファンの要望を受け、ヒロインであるレイア姫の人形を「スター・ウォーズ」初の女の子向け玩具として発売すると決めた。

 新シリーズを描く漫画家、ジェイソン・アーロン氏はファンにこう呼びかけた。

 「これは女性版ソーでもレディー・ソーでもない。これこそがマーヴェルのソーなのだ。過去のソーとは全く違うがね」(SANKEI EXPRESS

ランキング