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自分が下す判断の重み、教えてもらった ピーター・ヒラリーさんインタビュー

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自分が下す判断の重み、教えてもらった ピーター・ヒラリーさんインタビュー

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「信憑性を持たせるため、再現映像を監督とプロデューサーに提案したら、彼らは受け入れてくれたよ」と語るピーター・ヒラリー氏=2014年5月15日、東京都港区(早坂祐洋撮影)  □映画「ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂」

 1953年のエベレスト初登頂から60周年を迎えることを記念して「ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂」(リアン・プーリー監督兼脚本)が製作された。エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイが初登頂に成功するまでの試練にスポットをあて、当時のアーカイブ映像や本人のインタビューを交え、3Dによる再現ドラマとして描き出した。90年、34歳のときに自身も初登頂に成功したというエドモンドの長男、ピーター氏(59)が作品のプロモーションで来日し、「観客が『自分もエベレストに登っている』と体感できるならば3Dが一番だと思った。360度の壮大な景色を見たような体験ができますよ」と胸を張った。

 父の影響大きい

 各国の登山隊がエベレスト初登頂を目指すなか、陸軍大佐、ジョン・ハント(ジョン・ライト)が率いる300人を超える英国遠征隊も8848メートルの頂を目指していた。第1次アタック隊は体力を使い果たし、登頂を断念。次に出発したのがヒラリーとノルゲイの第2次アタック隊だが、自然は容赦なく彼らに試練を与える。

 ピーター氏は現在、世界中の冒険家たちを南極やヒマラヤへと連れて行く旅行業の仕事に従事している。「間違いなく父の影響を受けているね。学校が休みの日はいろいろな場所へと繰り出す冒険一家だった。父は家族と一緒に過ごす時間を大切にしたが、オフィスにこもって色々な遠征の計画を練っていることも多かったなあ」と懐かしそう。

 エドモンドは幼いピーター氏に対し、エベレストについて「『過酷な場所』だから、登山者として自分の下す判断の重みがとても大きい」と何度も警鐘を鳴らし、「エベレストを征服したぞ」「頂上に旗を立てたぞ」といった浮かれた語り口は一切なかった。エベレストを征服するには、「天候その他の与えられた厳しい条件の中で、どうやりくりして頂上を目指すかが大事であるか、また、いかに人間がもろい存在であるか」を頭に入れたうえで、「自然と共存する方法を身につけることが必要だ」と教えてもらったそうだ。

 南アルプスでの撮影

 当初、エベレストで撮影するというアイデアもあったが、ピーター氏は監督とプロデューサーのマシュー・メトカルフに危険すぎるからと故郷ニュージーランドの南アルプスを勧めた。「環境や景色が似ているんだ。稜の感じが似ているスポットを見つけていろんな角度から撮影したよ」。映画で描かれた父親については「ヒーロー物語というだけでなく、父の謙虚な部分と野心的な部分がうまく表現されていましたね」。6月28日、全国公開。(SANKEI EXPRESS

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