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のびのび演技させてくれた 映画「ヴィオレッタ」 アナマリア・ヴァルトロメイさんインタビュー

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のびのび演技させてくれた 映画「ヴィオレッタ」 アナマリア・ヴァルトロメイさんインタビュー

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「ケイト・ブランシェット、ブラッド・ピットの大ファン。共演できればいいなあ」と語る、女優のアナマリア・ヴァルトロメイさん=2014年4月14日、東京都品川区(寺河内美奈撮影)  経験豊かな中堅俳優であっても、作品への思いや仕事への心構えを的確に表す言葉に窮してしまい、インタビュー自体、なんとなく気まずい雰囲気のまま終わってしまうということも、ときにはある。逆に、フランスからやってきたアナマリア・ヴァルトロメイ(15)は、取材相手が少女であることをつい忘れてしまうほど成熟した話術をもつタイプだ。彼女が紡ぎ出す、知的で洗練された言葉を聞いていると、思わずうっとりとしてしまう。それは、ヴァルトロメイが、いっそ退廃的といっていいほどの大人の色香を周囲に常に発し続けていることもあるのだろう。

 美し過ぎる娘が“狂わせてしまう”のはなにも記者だけではない。ヴァルトロメイの初主演映画「ヴィオレッタ」(エヴァ・イオネスコ監督)では、写真家の母親を狂気へと駆り立ててしまう。母親が娘のヌードを撮影して世界で物議をかもした写真集「エヴァ」(1977年)の被写体こそ、モデル、女優としても活躍する監督自身だった。写真集の発表から30年以上を経て、彼女は実話をベースに「私はママの所有物ではない」との思いを本作にぶつけた。

 監督の説明で不安なく

 監督と同様、普通の小学生から売れっ子子役となったヴァルトロメイは、母親との関係がこじれにこじれた監督の葛藤を踏まえ、「家族との関係で特別な変化は何もありませんし、両親は支えになってくれています。演じる役の内面に深く入り込んでみて、どんなに激しい怒りに満ちあふれていたとしても、撮影が終わってしまえば、私はいつものアナマリアに戻れますしね」とマイペースを強調した。

 幼いヴィオレッタ(ヴァルトロメイ)は写真家の母、アンナ(イザベル・ユペール)が仕事でほとんど家を空けているため、祖母に面倒を見てもらっていた。ある日、突然帰ってきたアンナは、ヴィオレッタを自分の写真のモデルになるよう誘う。母の頼みを受け入れたヴィオレッタだが、求められるポーズは次第に大胆なものとなっていく…。

 撮影当時10歳だったヴァルトロメイは、演技そのものが初めてという“素人”だった。撮影前に3カ月ほど、監督と2人で古今の名作映画をたくさん見たそうだ。感情を表に出すタイプではなかったため、感情表現の方法を勉強する必要があったのだ。「撮影で不安は何もなかったし、名優たちがいても緊張しませんでした。監督はしっかりとヴィオレッタの人生について説明をしてくれましたし、自分なりに自由にのびのびと演技をさせてくれたからです」

 本作の上映をめぐっては、芸術とポルノの線引きについて議論もあった。「作品はデリケートなテーマを扱っていますし、公開前はプレスの反応が真っ二つに割れると思いました。でも、結果は肯定的なものばかり。芸術とポルノの判断基準について、私自身はどうすべきか分かりませんが、一定の境界線は必要だとは思います」。本作があこがれのカンヌ国際映画祭で上映され、自分自身もレッドカーペットを歩けたことは「一つの冒険であり、忘れられない思い出」とも語り、ほっとした表情をみせた。5月10日から東京・シアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS

 ■Anamaria Vartolomei 1999年4月9日、ルーマニア生まれ。本作のオーディションに応募し、約500人の中からヴィオレッタ役を射止める。無名ながらも2012年のカンヌ批評家週間部門のポスターモデルを務めた。現在は家族とパリに引っ越した。今年1月、シャルロット・ゲンズブール主演のコメディー「Jacky Au Royaume Des Filles」に出演。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画 を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2014年5月14日まで>)。アプリは「App Store」 「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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